恋愛小説レビュー「さよならノーチラス~最後の恋と、巡る夏~」
(画像元 https://www.amazon.co.jp)
こんにちは恋愛開運堂のチャーリーです☆彡
今回は、優衣羽(ゆいは)さんの恋愛小説「さよならノーチラス~最後の恋と、巡る夏~」(ポプラ文庫ピュアフル)を読了しました。
あなたは、これまでの人生で道に迷ったことありますか?
誰しも一度は自分が進む進路に悩んだり、葛藤したと思います。
そんな時に誰かが行く先を照らしてくれたらな~って思いますよね。
そんなあなたに、切なくも勇気づけられるこのお話レビューしちゃいます♡
作者紹介
優衣羽(ゆいは)
神奈川県出身。
「僕と君の365日」が2018年ピュアフル小説大賞にて最終候補となり、同作でデビュー。
他の著作に「紅い糸のその先で、」がある。
あらすじ
都内の大学に通う大晴(たいせい)は、将来に対しての夢もなくただ無為に日々を過ごしていた。
ある日、祖父が倒れたという知らせを受けて実家のある田舎町へ帰郷した大晴は、そこで幼馴染みだった黎夏(れいか)と7年ぶりに再会する。
美しい女性に成長した黎夏を見て、大晴の胸に再び恋愛感情が湧き上がる。
だが久しぶりの再会にもかかわらず、黎夏の表情は曇ったまま。
そこには、黎夏が抱える残酷な秘密が横たわっていた……。
(本書より引用)
感想
・変わらない夏の思い出、移り行く時間
夏……暑い期間はそれなりの長さがありますが、ほんとの意味での「夏」ってアッという間に過ぎ去ってしまうような気がします。
それだけに夏には色んなドラマが打ち上げ花火のように生まれ、線香花火のように儚く終わってしまう。
そして、「夏」が連想させるものの一つに「故郷(ふるさと)の情景」が思い浮かぶのは僕だけではないと思います。
今回の物語は、そんな田舎の夏を舞台にしたとってもとっても切ないお話。
それにしても、夏の風景や田舎の情景の描写が見事な作品で、一瞬で自分がその情景に溶け込んだような錯覚に陥ります。活字というアナログなツールを使ったバーチャルリアリティーを体感できます。
主人公の大晴(たいせい)は、久しぶり帰った田舎の景色や久しぶりに会う友人たちの中の変わらない部分を見つけては安堵します。
それは移り行く時間というものが無情にも周りの環境や、自分たちの置かれている立場を否応なしに変えていく寂しさや焦りからくるものでしょう。
それだけに楽しかった過去の変わらない思い出にすがりつきたくなるのは誰しも持ってる感情ではないでしょうか。
・大人になるということ
やがて僕らは、その変化を受け入れて大人になっていきます。
その過程では皆必ず人生の選択を迫られる。
子どもの頃に抱いた夢に向かっていけるのは、ごく少数。多くの者は、与えられた選択肢の中で一番波風が立たない「普通」という道を選び、生きていくために夢を捨てていく。
それが一般的にいう大人になるということでしょうね。
いや今の世の中、やむ無く捨ててしまう「夢」があるだけまだましなほうかもしれません。
この物語の中で、自分の夢がまだ見つけられないまま年齢という時間に押し流され苦悩する大晴が『納得できる答えが見つかるまで、もう少し時間をくれてもいいのではないか』……と心で嘆く場面がありますが、僕は激しく共感しました。
僕はもう、それなりに年齢を重ねていますが、現在置かれている立場に納得しておらず、新しいことにチャレンジしたいと考えてます。
しかし、生きていく事に縛られているうちに、どんどんと時間だけが過ぎていってます。
立ち止まって考える時間が欲しいのは、若者だけではないということですよね。
ただひとつ違うのは、いくつもの選択の機会があったのに、安定した道を選び続けてしまったということ。
若者にはまだ納得できる選択をするチャンスが僕らより断然多い。
なので若い人には、後悔のない選択をして欲しいし、出来るなら妥協と諦めをしないで欲しいと心から願います。
・希望の光
短いようで意外と長い僕らの人生。
大きな喜び苦しみもあれば、些細な嬉しさ悲しみもあります。
その命が尽きるまでは、その全部がその人の人生であり物語なのです。
物語の中でヒロイン・黎夏(れいか)が読んでいた『海底二万里』にでてくる潜水艦のように、時には真っ暗な海に沈み行先を見失うこともあるでしょう。
そんな時に道を示してくれるのが「光」。
その光の源となるのは自身の夢なのか、最も信頼する誰かなのか……
それは人それぞれに違うでしょう。
僕自身は、愛する人の存在が暗闇を切り裂き照らしてくれる光になってくれると確信しています。
愛する人の光が道しるべとなって導いてくれるはずです。
そう……希望という名の光で。