恋愛小説『どうか、彼女が死にますように』レビュー
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こんにちは、恋愛開運堂のチャーリーでーす。
今回は喜友名トトさんの恋愛小説『どうか、彼女が死にますように』(メディアワークス文庫)をご紹介します。
作者紹介
喜友名トト(きゆな・とと)
沖縄県在住、小説家。
2014年「悪の組織の求人広告」シリーズ(MFブックス)でデビュー。
他の著作は『僕は僕の書いた小説を知らない』(双葉文庫)など。
(本書より引用)
あらすじ
とある事情により、本心を隠して周囲の人気者を演じていた大学生の毬谷夏(まりやなつき)。
その彼に容赦ない言葉を投げたのは、常に無表情で笑顔を見せない少女、初美更紗(はつみさらさ)だった。
夏希は更紗に興味を持ち、なんとか笑わせようとする中、次第に彼女に惹かれていく。
だが、彼女が「笑えない」ことには理由があった・・・・
「私、笑ったら死ぬの」
明かされる残酷な真実の前に、夏希が出した答えとは?
想像を超える結末は、読む人すべての胸を熱くする。
(本書より引用)
感想
少しネタばれになりますが、主人公の夏希は少しだけ魔法が使える大学生。
それが災いして小学生の頃イジメに会い、その時のトラウマが原因で周囲の人に愛想を振りまき、楽しませる習性を身に着けました。それゆえどこでも彼は人気者なのです。
みんなに笑顔を向けてもらえることが、夏希にとって心の平穏を保てることに繋がるから。
ですが、同時に自分の感情を笑顔の仮面の下に隠さないといけない息苦しさを常に感じていました。
あ~なんか分かるな~僕もこのタイプかも・・・
僕も割と器用に人と接することが出来るけど、どこか息が詰まる感覚がある。
本文中にある「たくさんの人とずっと一緒にいると、ふっとその場から離れたくなることがある……」の箇所は、ドンピシャ当てはまるな~。
一方、同じ大学に通う更紗は幸せを感じると放出されるというホルモンが逆に更紗自身に害を与えるという難病の持ち主。
そのため、感情を抑えて育ってきたため喜びや幸福感という感情や笑顔の作り方さえも忘れてしまった女の子。
作り笑いも出来ないけど、逆にその言動には嘘いつわりがなく誠実で純真そのもの。
夏希は自分と真逆な、しかも自分にはないものを持ってる更紗に惹かれ、なんとか更紗に笑顔を思い出して欲しいと願い、更紗を笑わせようと頑張ります。
しかし、そのことが逆に更紗の寿命を縮めることに繋がり、それが夏希の葛藤を生みます。
生きるとは何なのか……
何も感じずにただ生きながらえるのか、それとも幸せや感動を体験して死ぬのか。
僕らに突き付けられた課題でもあるかのようです。
物語の終盤はアップダウンの激しい手に汗握る怒涛の展開!
ラストまでグイグイ引き込まれるこの青春の愛の物語はぜひ必見ですよ。