恋愛小説レビュー『あの夏、僕らの恋が消えないように』
(画像元 https://books.rakuten.co.jp)
こんにちは、恋愛開運堂のチャーリーです☆彡
今回は永良サチ(ながら さち)さんの恋愛小説『あの夏、僕らの恋が消えないように』(スターツ出版文庫)を読了しました。
あなたは好きな相手と居ることで、寿命が縮むとしたらどうしますか?
怖いですよね~、それでも傍に居て愛し合いたいですか?
今回はそんな悩ましいシチュエーションの恋物語、レビューしちゃいます♡
作者紹介
永良サチ(ながらさち)
北海道在住。2016年『キミがいなくなるその日まで』で作家デビュー。
その後『あの雨の日、きみの想いに涙した。』『降りやまない雪は、君の心に似てる。』『きみと泳ぐ、夏色の明日』『きみと泳ぐ、夏色の明日』『夕刻の町に、僕らだけがいた。』『雪明りの街で、きみに永遠の恋をした。』『眠れない夜は、きみの声が聴きたくて』を刊行。
(本書より引用)
あらすじ
「私はもう二度と恋はしない……」
幼いころから好きになった異性の寿命を奪ってしまう奇病を持つ瑠奈(るな)。
大好きな父親を亡くしたのも自分のせいだと思い込んでいた。
そんなある日、幼馴染みの十和(とわ)と再会。
彼に惹かれてしまう瑠奈だったが「好きになってはいけない」と自分に言い聞かせ、冷たくあしらおうとする。
しかし、十和は彼女の秘密を知っても一緒にいようとしてくれて……。
命を削ってもなお、想い続けようとするふたりの切なく狂おしい純愛物語。
(本書より引用)
感想
・ヤマアラシのジレンマ
瑠奈と十和はお互い好き合っているのにくっつけない……
瑠奈が発症した奇病のために十和への感情を抑えようとするのだけど、湧き上がる「好き」という想いは抑えきれずに距離をおくのです。
そして十和は何故そんなに瑠奈に避けられてるのか戸惑います。
10年ぶりに再会したのに意味も分からず避けられるなんて、そりゃ誰でも戸惑いますよね~。
というか、絶対心が折れそうです(笑)
それでも十和の瑠奈に対する想いはゆるがず、瑠奈を守り慈しむのです。
くっつきたくてもくっつけない……
何だかこの状況ってショーペンハウアーの寓話「ヤマアラシのジレンマ」を思い出しますね。
・自分より大切なもの
瑠奈の病は自分が好きになった人の寿命を奪ってしまうという奇病。
それゆえに本当の自分を隠して、特に異性への感情が芽生えないように生きてきました。
異性を好きになってはいけない……それは、この先の人生において孤独と戦うことになるのでしょう。
もっとも、敢えてそういう道を選ぶ人も世の中にはたくさんいるのですが、瑠奈は普通に家庭をもちたいと思うような女の子。
なのでそれがどれ程辛い道なのか……
事実を知った十和は、そんな瑠奈の心の苦悩を読み取り自分がどうなろうとも瑠奈の傍にいようとします。
もちろん瑠奈のことが好きで結ばれたいという恋心もあるからなのですが。
一見、とても崇高で普通の人には真似出来ないような気がしますが、我が子のためなら死んでもいいという想いも同じですよね。
人間は誰しも自分が一番かわいいものと言われてますが、よく考えると自分よりも大切なものって存在するんですよね。
それが何か、誰かは人それぞれでしょうけど。
・まとめ
すごく心温まる物語でしたが欲を言えば、もう少しジレキュンな展開を欲しかったかな~(笑)
まあ病の性質上その展開が難しいのかもしれませんが。
十和を死なせたくない瑠奈、瑠奈を孤独にさせたくない十和。
お互いが見せてくれた愛は、本物の愛でこういうのを無償の愛というんでしょうね。
あなたが無償の愛を捧げれる人って誰ですか♡