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恋愛に関するエトセトラ

恋愛小説レビュー『僕は、さよならの先で君を待つ』

 

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こんにちは、恋愛開運堂のチャーリーです☆彡

今回は優衣羽さんの恋愛小説『僕は、さよならの先で君を待つ』(ポプラ文庫)をご紹介しまーす♡

 

 

もくじ

 

作者紹介

 

優衣羽(ゆいは)

 

神奈川県出身。

2018年ピュアフル小説大賞にて最終候補となり『僕と君の365日』でデビュー。

 

 

 

あらすじ

 

高2の機島縁士は春、枝垂れ桜の下で花嵐とともに降ってきた合内海砂と出逢う。

彼女はやがて同じクラスに転校生としてやって来て、ふたりは次第に仲良くなる。

が、ある日出逢った場所で「明日、世界が終わるの」と彼女が泣き出して……。

 

(本書より引用)

 

感想(ネタバレ注意)

 

今回の優衣羽先生の作品は、タイムトラベル絡みのSF恋愛作品。

それだけに現在・過去・未来と舞台が広がり重厚な内容の物語に引き込まれてしまいます。

そしていつもながらの繊細で美しい情景描写はさすがです。

最後まで結末が読めない展開に釘付け間違いなし。

ラストは……もれなく泣いちゃいます!

 

恋愛小説『君が落とした青空』レビュー

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(画像元 https://www.amazon.co.jp

 

こんにちは、恋愛開運堂のチャーリーです☆彡

 

今回は櫻いいよさんの恋愛小説『君が落とした青空』スターツ出版文庫)

をご紹介しまーす。

 

 

  もくじ

 

 

作者紹介

櫻いいよ(さくら・いいよ)

 

大阪市在住。

 

2012年2月、『君が落とした青空』、2014年8月『交換ウソ日記』を発刊(共にスターツ出版刊)。

 

現在累計10万部を超える人気作家である。

 

(本書より引用)

 

 

あらすじ

付き合いはじめて2年が経つ高校生の実結(みゆ)と修弥(しゅうや)。

 

気まずい雰囲気で別れたある日の放課後、修弥が交通事故に遭ってしまう。

 

実結は突然の事故にパニックになるが、気がつくと同じ日の朝を迎えていた。

 

何度も「同じ日」を繰り返す中、修弥の隠された事実が明らかになる。

 

そして迎えた7日目。

 

ふたりを待ち受けていたのは予想もしない結末だった。

 

号泣必至の青春ストーリー!

 

(本書より引用)

 

 

 

感想

実結は修弥の事故現場に居合わせ、その惨劇の同じ日を繰り返すことになります。

 

彼氏のそんな姿を繰り返し見ることになるのですから、実結は当然ながら憔悴していきます。

 

ただ、長年付き合ったカップルなら経験あると思いますが、実結の中には修弥に対する気持ちが分からなくなりつつあったのです。

 

彼から本当に好かれているのか?

 

自分は本当に彼のことがすきなのか?

 

確かに修弥の言動、行動は僕からみても好きになれず、実結は付き合わないほうがいいんじゃない?って思うほどです(笑)

 

しかし、修弥の言動行動は実結の視点から描かれたもので、実際はちょっと違ったんですけどね。

 

人はネガティブな感情に囚われていると、ネガティブな人間がよって来るし逆もまた然り。

 

不機嫌な顔をしてると相手や周囲の人間も不快にさせてしまうものです。

 

そう、実結は彼の気持ちに自信が持てなくて心から笑えなくなったため、負の悪循環に陥ってしまっていたのでしょう。

 

やはりそうならないためには、相手と向き合って話をすること。

 

ちゃんと自分の気持ちを言葉で伝えること。

 

きちんと相手の気持ちを確かめること。

 

そうすれば本当に大切なものが見えてくるもの。

 

彼氏彼女と過ごす時間がつまらない日常、退屈な日常と感じるのであれば、それはひょっとして自分が作り上げてるものかもしれません。

 

相手とちゃんと向き合って、ちゃんと見ていれば些細な日常は毎回特別なイベントにも匹敵することでしょう。

 

同じように思える会話や行動が実は同じではなく、その時々で違っていてそれが大切な意味を持つ。

 

それが些細な日常に幸せを感じれることだと思ってます。

 

 

恋愛小説『どうか、彼女が死にますように』レビュー

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こんにちは、恋愛開運堂のチャーリーでーす。

 

今回は喜友名トトさんの恋愛小説『どうか、彼女が死にますように』メディアワークス文庫をご紹介します。

 

 もくじ

 

作者紹介

喜友名トト(きゆな・とと)

 

沖縄県在住、小説家。

 

2014年「悪の組織の求人広告」シリーズ(MFブックス)でデビュー。

 

他の著作は『僕は僕の書いた小説を知らない』(双葉文庫)など。

 

(本書より引用)

 

 

あらすじ

とある事情により、本心を隠して周囲の人気者を演じていた大学生の毬谷夏(まりやなつき)。

 

その彼に容赦ない言葉を投げたのは、常に無表情で笑顔を見せない少女、初美更紗(はつみさらさ)だった。

 

夏希は更紗に興味を持ち、なんとか笑わせようとする中、次第に彼女に惹かれていく。

 

だが、彼女が「笑えない」ことには理由があった・・・・

 

「私、笑ったら死ぬの」

 

明かされる残酷な真実の前に、夏希が出した答えとは?

 

想像を超える結末は、読む人すべての胸を熱くする。

 

(本書より引用)

 

 

感想

少しネタばれになりますが、主人公の夏希は少しだけ魔法が使える大学生。

 

それが災いして小学生の頃イジメに会い、その時のトラウマが原因で周囲の人に愛想を振りまき、楽しませる習性を身に着けました。それゆえどこでも彼は人気者なのです。

 

みんなに笑顔を向けてもらえることが、夏希にとって心の平穏を保てることに繋がるから。

 

ですが、同時に自分の感情を笑顔の仮面の下に隠さないといけない息苦しさを常に感じていました。

 

あ~なんか分かるな~僕もこのタイプかも・・・

僕も割と器用に人と接することが出来るけど、どこか息が詰まる感覚がある。

 

本文中にある「たくさんの人とずっと一緒にいると、ふっとその場から離れたくなることがある……」の箇所は、ドンピシャ当てはまるな~。

 

一方、同じ大学に通う更紗は幸せを感じると放出されるというホルモンが逆に更紗自身に害を与えるという難病の持ち主。

 

そのため、感情を抑えて育ってきたため喜びや幸福感という感情や笑顔の作り方さえも忘れてしまった女の子。

 

作り笑いも出来ないけど、逆にその言動には嘘いつわりがなく誠実で純真そのもの。

 

夏希は自分と真逆な、しかも自分にはないものを持ってる更紗に惹かれ、なんとか更紗に笑顔を思い出して欲しいと願い、更紗を笑わせようと頑張ります。

 

しかし、そのことが逆に更紗の寿命を縮めることに繋がり、それが夏希の葛藤を生みます。

 

生きるとは何なのか……

 

何も感じずにただ生きながらえるのか、それとも幸せや感動を体験して死ぬのか。

 

僕らに突き付けられた課題でもあるかのようです。

 

物語の終盤はアップダウンの激しい手に汗握る怒涛の展開!

 

ラストまでグイグイ引き込まれるこの青春の愛の物語はぜひ必見ですよ。

 

 

 

 

 

 

 

恋愛小説レビュー『あの夏、僕らの恋が消えないように』

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(画像元 https://books.rakuten.co.jp

 

こんにちは、恋愛開運堂のチャーリーです☆彡

 

今回は永良サチ(ながら さち)さんの恋愛小説『あの夏、僕らの恋が消えないように』スターツ出版文庫)を読了しました。

 

あなたは好きな相手と居ることで、寿命が縮むとしたらどうしますか?

 

怖いですよね~、それでも傍に居て愛し合いたいですか?

 

今回はそんな悩ましいシチュエーションの恋物語、レビューしちゃいます♡

 

 

   もくじ

 

 

作者紹介

 

永良サチ(ながらさち)

 

北海道在住。2016年『キミがいなくなるその日まで』で作家デビュー。

 

その後『あの雨の日、きみの想いに涙した。』『降りやまない雪は、君の心に似てる。』『きみと泳ぐ、夏色の明日』『きみと泳ぐ、夏色の明日』『夕刻の町に、僕らだけがいた。』『雪明りの街で、きみに永遠の恋をした。』『眠れない夜は、きみの声が聴きたくて』を刊行。

 

(本書より引用)

 

 

あらすじ

 

 「私はもう二度と恋はしない……」

 

幼いころから好きになった異性の寿命を奪ってしまう奇病を持つ瑠奈(るな)。

 

大好きな父親を亡くしたのも自分のせいだと思い込んでいた。

 

そんなある日、幼馴染みの十和(とわ)と再会。

 

彼に惹かれてしまう瑠奈だったが「好きになってはいけない」と自分に言い聞かせ、冷たくあしらおうとする。

 

しかし、十和は彼女の秘密を知っても一緒にいようとしてくれて……。

 

命を削ってもなお、想い続けようとするふたりの切なく狂おしい純愛物語。

 

(本書より引用)

 

 

感想

ヤマアラシのジレンマ

瑠奈と十和はお互い好き合っているのにくっつけない……

 

瑠奈が発症した奇病のために十和への感情を抑えようとするのだけど、湧き上がる「好き」という想いは抑えきれずに距離をおくのです。

 

そして十和は何故そんなに瑠奈に避けられてるのか戸惑います。

 

10年ぶりに再会したのに意味も分からず避けられるなんて、そりゃ誰でも戸惑いますよね~。

 

というか、絶対心が折れそうです(笑)

 

それでも十和の瑠奈に対する想いはゆるがず、瑠奈を守り慈しむのです。

 

くっつきたくてもくっつけない……

何だかこの状況ってショーペンハウアーの寓話「ヤマアラシのジレンマ」を思い出しますね。

 

・自分より大切なもの

瑠奈の病は自分が好きになった人の寿命を奪ってしまうという奇病。

 

それゆえに本当の自分を隠して、特に異性への感情が芽生えないように生きてきました。

 

異性を好きになってはいけない……それは、この先の人生において孤独と戦うことになるのでしょう。

 

もっとも、敢えてそういう道を選ぶ人も世の中にはたくさんいるのですが、瑠奈は普通に家庭をもちたいと思うような女の子。

 

なのでそれがどれ程辛い道なのか……

 

事実を知った十和は、そんな瑠奈の心の苦悩を読み取り自分がどうなろうとも瑠奈の傍にいようとします。

 

もちろん瑠奈のことが好きで結ばれたいという恋心もあるからなのですが。

 

一見、とても崇高で普通の人には真似出来ないような気がしますが、我が子のためなら死んでもいいという想いも同じですよね。

 

人間は誰しも自分が一番かわいいものと言われてますが、よく考えると自分よりも大切なものって存在するんですよね。

 

それが何か、誰かは人それぞれでしょうけど。

 

・まとめ

すごく心温まる物語でしたが欲を言えば、もう少しジレキュンな展開を欲しかったかな~(笑)

 

まあ病の性質上その展開が難しいのかもしれませんが。

 

十和を死なせたくない瑠奈、瑠奈を孤独にさせたくない十和。

 

お互いが見せてくれた愛は、本物の愛でこういうのを無償の愛というんでしょうね。

 

あなたが無償の愛を捧げれる人って誰ですか♡

 

 

 

恋愛小説レビュー『余命一年と宣告された僕が、余命半年の君と出会った話』

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 (画像元 https://www.amazon.co.jp

 

こんにちは恋愛開運堂のチャーリーです☆彡

 

今回は、森田碧(もりた・あお)さんの恋愛小説『余命一年と宣告された僕が、余命半年の君とであった話』(ポプラ文庫)を読了しました!

 

あなたは余命宣告されたらどうしますか?

 

もちろん身体が動けばやり残したこと、やりたかったことをしたいと思いますよね。

 

僕はその限られた時間の中で「恋愛」という選択肢もありかなと思うんです。

 

そんな極限状態での恋の物語……レビューしちゃいます♡

 

 

  もくじ

 

 

作者紹介

 森田碧(もりた・あお)

 

北海道出身。

 

2020年LINEノベル「第2回ショートストーリーコンテスト」にて「死神の制度」が大賞を受賞。

 

2021年、本作でデビュー。

 

 (本書より引用)

 

あらすじ

高1の冬、早坂秋人は心臓病を患い、余命宣告を受ける。

 

絶望の中、秋人は通院先に入院している春奈と出会う。

 

彼女もまた、重い病気で残りわずかの命だった。

 

秋人は自分の病気を隠して春奈と話すようになり、死ぬのが怖くないと言う姿に興味を持つ。

 

自分はまだ恋をしてもいいのだろうか?

 

自問しながら過ぎる日々に変化が訪れるが……

 

(本書より引用)

 

 

感想

 

・恋の期限

この物語はまさしく涙なくしては語れません(泣)

 

久しぶりの号泣です(笑)

 

余命一年を宣告された秋人は自分が通院する病院に入院する春奈と出会い、そして恋に落ちるのですが、その春奈も余命半年の大病を患っています。

 

脳科学的に恋の賞味期限は12カ月~18カ月と言われていますが、秋人と春奈の恋の期限は命の期限という別次元のもの。

 

どんなカップルや夫婦が、ずっと添い遂げたとしてもいずれは死が二人を分かつものなので、その意味ではどんな恋も期限付きといえるのですが、秋人と春奈に残された時間はあまりにも短すぎました。

 

二人はそれぞれに、生い先短い故に「恋愛」という二文字を封印してました。

 

もちろん、もし恋人が出来ても相手に辛い想いをさせるから……という理由で。

 

確かに同じ状況なら同じこと考えちゃうよな~。

 

というか、そもそも恋愛する心の余裕なんかないかもしれないけど(笑)

 

ただ、いつの間にか恋に落ちてた、ということはありえるのでしょうね……

 

実際二人も徐々に心の距離を縮め、お互いがなくてはならない存在になりました。

 

短すぎる期限付きの恋……他のカップルのように色んなことをして思い出を積み重ねることは出来ないけど、他のどんなカップルより密度の濃い恋愛をしたんじゃないかな。

 

・命の期限

人は生まれた瞬間から死へ向かって進んで行きます。

 

その意味でいうと人生のゴールは、死であるとも言えます。

 

ただし、ゴールが見えてる人間とまだの人間では、明らかに時間に対する考えや心構えが違ってくるでしょう。

 

春奈は少しでも秋人と一緒に居たいとの想いで、1分1秒でも長く生きることを決意します。

 

全てに投げ槍になってた秋人は、その姿に心を打たれるのです。

 

健康な僕らは、ともすると漫然と日々を過ごす……というより消化する時がありますが、やはり1分1秒を大事に生きて行かなければいけないんですよね。

 

そう考えると、死ぬまでにやりたいことって何だろう……

 

秋人もネットの質問サイトで「もうすぐ死ぬとわかっていたら、最後に何をしますか?」と投稿します。

 

う~ん、僕ならどうするだろう。

 

養う家族がいなければ、速攻で仕事を辞めて好きな事をして過ごすかな。

 

でもテンパって何も手につかないかもしれない(笑)

 

さあ、あなたなら死ぬ前に何をします?

 

・恋は外見か中身か

この物語のもう一人のキーパーソン、春奈の幼馴染み三浦綾香は容姿端麗で人気者。

 

ゆえに話したこともない男子から告白されることも日常茶飯事。

 

そして外見を気に入られることに疑問を持ちつつ、綾香自身も本気で人を好きになったことがなかった。

 

そんな綾香は秋人と春奈が残された時間の中で純粋に恋をしていたことを羨ましく思っているのです。

 

そのエピソードで、人は外見か中身か……という素朴な疑問が僕の中で湧き上がりました。

 

確かに秋人と春奈は純粋に惹かれ合っていましたが、最初は秋人が春奈を一目見て気になり、その後声をかけてます。

 

う~ん、それって外見から入ってるよね~(笑)

 

ただ、世の中のカップルのほとんどは、理想の外見の相手と結ばれてないんですよね。

 

なぜなら、ある研究では理想の外見の相手と出会える確率って何と0.000003%って結果が出てるんです!

 

そう考えると、恋愛って少し気になる相手の中に光るもの、尊敬や敬愛できるものを見つけられた時に生まれるものなんだろうな~っていうのが僕なりの結論かな。

 

ということは、あなたが好きな相手の理想のタイプでなくてもチャンスがあるってことなんですよ~(笑)

 

・まとめ

この手の恋物語って、相手のどちらかが早逝するだけでもかなりの涙を誘発されますが、このお話は二人が余命宣告されてるというから大変です。

 

ほんとうに涙の波状攻撃に晒されます。

 

ある意味新しいパターンではないでしょうか。

 

それにしても余命短い相手を好きになるって、やはり恋に恋して恋愛するんじゃなくて、純粋に相手のことが好きにならないと出来ないことですよね。

 

この物語では恋愛の神髄を見せてもらったように感じます。

 

あなたも本当の恋……してみませんか♡

 

 

 

恋愛小説レビュー『こじらせお姉さんと僕だけのラブコメ』

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 (画像元 https://www.amazon.co.jp

 

こんにちは恋愛開運堂のチャーリーです☆彡

 

今回は、坂神京平さんの恋愛小説『こじらせお姉さんと僕だけのラブコメ(角川スニカー文庫)を読了しました!

 

あなたが男なら、綺麗なお姉さんから突然「ずっと養ってあげるから、同棲して」といわれたらどうしますか?

 

素直に喜んで申し出を受ける?

 

それとも、やりたい仕事があったりするから養われるのは嫌?

 

そんな、無いようで有るような夢のような物語、レビューしちゃいます♡

 

 

  もくじ

 

 

作者紹介

坂神京平(さかがみ・きょうへい)

 

活字と可愛い女の子が大好き。

 

web小説投稿サイト「カクヨム」にて日々妄想を文章化。

 

心の癒しは、深夜アニメを視聴すること。

 

『ニジガク』の推しは近江彼方か桜坂しずく。

 

 

 (本書より引用)

あらすじ

「端的に言うと、もう裕介くんは働かなくてもいいんだよ」

 

小宮裕介(こみや・ゆうすけ)(21)は、SNSで知り合った綺麗で優しいお姉さん・花江美織(はなえ・みおり)(28)に突如結婚前提の同棲を迫られる。

 

もちろん好意はあるものの……

 

お姉さんのあまりの熱意に押され、お試しで同棲を始めてみれば、男性経験なしでこじらせ気味なお姉さんはエロゲで学んだもてなし知識をフル活用。

 

過激な愛情表現は、お風呂で、そしてベッドでも……

 

手順を踏んでお互いを知っていきたい裕介と、一足飛びに結婚したいお姉さん。

 

少しズレてもお互いに好き同士が毎日いちゃいちゃする、ちょっとエッチな愛情ましましラブコメ

 

 (本書より引用)

 

感想

・純情青年とこじらせお姉さん

こ……このお話は、世の男性の究極の理想形だっ!

 

主人公の裕介(ゆうすけ)は7つ年上の美織(みおり)から

「端的に言うと、もう裕介くんは働かなくてもいいよ?」

「私と同棲してくれるなら、君のことは扶養してあげる」

と言われることから始まるこの物語。

 

美人で高収入のお姉さんと同棲・結婚して、その上養ってくれるなんて……

端的に言うと、パラダイスじゃないですかっ(笑)

 

もっとも、今の仕事にやりがいを感じ情熱を注いでいる男性や主夫なんてイヤだって人なら、その申し出を断るのかもしれないけど。

 

僕なら二つ返事でお願いしちゃいますね~。

 

しかし、裕介はというと……

 

かなり戸惑っちゃいます。

 

当たり前と言えば当たり前なのだけどね。

 

確かに僕も戸惑うかもですがその理由として、そんな都合の良い話には何か裏があるんじゃないかと勘ぐっちゃうからなんです。

 

でも裕介の場合はちょっと違ってて、裕介は彼女いない歴イコール年齢の男子なんです。(もちろん少しは訝しんではいましたが)

 

なので、手順を踏んでお互いを知っていきたいという想いが強かったのです。

 

なんかその気持ちも分からなくもないかな。

 

一方で、なぜ美織がいきなり同棲して裕介を扶養したいかというと……

 

これまた美織も彼氏いない歴イコール年齢というお姉さん。

 

青春を全てイラストを描くことに捧げたため男性経験がなく、男性に対する知識はゲームやアニメなどの二次元のコンテンツから情報から得ているため、発想が奇想天外でややこじらせちゃってるのです。

 

可愛いうえに高収入の美織は、男性経験のなさと自分の年齢に対するコンプレックスで、かなり自己肯定感が低い。

 

それゆえに年下の裕介に若い女性が寄ってくるのを恐れて、裕介を扶養したいと考えるのです。

 

すっごいヤキモチやきなんですね~

 

まぁ男ならこんなお姉さんにヤキモチやかれてみたいですね(笑)

 

・主夫になるということ

さて、結局のところ裕介はお試しに美織の家にお泊まりすることになるのですが……

 

もちろんその一夜で裕介は美織にメロメロになり、同棲することを決意します。

 

うん、これはどんな男性でも抗えないですよ~。

 

それが男の性ってものです(笑)

 

ですが、裕介の中で葛藤も生まれます。

 

大学を中退しフリーターになったうえ、ずっと彼女がいなかった裕介もまた自己肯定感が低く、自分と美織が釣り合わないのではないか……

 

美織にはもっと相応しい人がいいのではないかと思いやります。

 

そんな裕介の優しいところに美織は惚れたのですけどね。

 

でも、僕も同じ立場なら引け目を感じるんだろうな。

 

そして、裕介に若い女が言い寄ってこないように美織は裕介にアルバイトを辞めるように提案します。

 

今の僕なら速攻で仕事辞めるかもですが、若い裕介は躊躇います。

 

やはり自分の社会的立場がなくなるというのが怖いのです。

 

確かに仕事をしてると、辛いことや苦しいこともあるけど全く社会との接点がなくなった時のことを想像すると……結構不安な部分もありますね。

 

女性ならコミュニティをつくるのって得意分野なのでしょうけど、男性が社会と断絶するとほんとに孤立するケースが多いですから。

 

う~ん考えさせられます。

 

・みんなが持つ光るもの

昨今はインターネットで全てが可視化され、それにより才能に恵まれた人々の凄さを目の当たりにするようになりました。

 

その弊害として、頑張ればその努力は報われるんだと思えなくなった。

 

そりゃそうだよね。

 

各分野にはバケモノじみた才能をもった人がゴロゴロいて、並の才能の人間は萎えるよ。

 

それでも好きで熱中できるものがあるなら、努力を厭わず没頭できます。

 

裕介は残念ながら熱中できるものに出会わず、無難な道を歩んで来ました。

 

そんな裕介がなぜ大学を中退してフリーターになったかというと、なんとなくの惰性で大学を卒業したくなかったから。

 

初めて自分の意思で行動を選択したことの結果なのです。

 

裕介は社会の最下層にいる自分を卑下しますが、流れに流されずに自分の気持ちに嘘をつかなかった裕介の真っ直ぐさに、美織は共感し惚れ直します。

 

一方、順風満帆に見える美織にも色んな批判を受け、多くのものを犠牲にして今の地位を掴み取った。

 

そのことを裕介は悟り、改めて美織を尊敬し殊更愛おしさを感じるのです。

 

どんな環境や状況に置かれてる人でも、尊敬できるもの惹かれるもの光るものがあるってことですよね。

 

パートナーとの関係が上手くいく秘訣って、案外そうした相手のいいところを見つめ続けるってことなんじゃないかな……

 

・まとめ

いや~この物語は、ほんとに夢見心地な気分にどっぷり浸らせてくれました。

 

通常の恋愛ものってお互いが気になり出して、そして徐々にお互いを好きになりつつも、いくつもの掛け違いが生まれジレキュン状態が続くんだけど、この物語はジレキュンが取っ払われてスタートしてるところがとっても痛快!

 

ジレキュンもいいところはあるんですけど、こういう急展開の天国モードも新鮮で幸せな気分になれました。

 

あ~~誰か僕を養ってくんないかなぁ~♡

 

 

 

恋愛小説レビュー『僕が恋した、一瞬をきらめく君に。』

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 (画像元 https://books.rakuten.co.jp

 

こんにちは恋愛開運堂のチャーリーです☆彡

 

今回は音はつきさんの恋愛小説『僕が恋した、一瞬をきらめく君に。』(スターツ出版文庫)を読了しました。

 

あなたの子供の頃の夢ってなんでした?

 

その夢は叶いましたか?

 

それとも、諦めちゃいました?

 

夢を追い求める時、暗がりの道に一筋の光を照らしてくれる人がいると、それが羅針盤となって導いてくれる気がします。

 

そんな素敵な出会いをした二人の物語、レビューしちゃいます♡

 

 

  もくじ

 

作者紹介

・音はつき(おと はつき)

 

埼玉県在住。

 

2017年に趣味としての創作を始め、『未だ青い僕たちは』で作家デビュー。

 

他作でスターツ出版キャラクター小説大賞特別賞受賞。

 

(本書より引用)

 

 

あらすじ

サッカー選手になる夢を奪われ、なにもかもを諦めていた高2の朔田樹(さくた・いつき)。

 

転校先の高校で友達も作らず、ひとりギターを弾くだけが心落ち着く時間だった。

 

ある日公園で弾き語りをしているのを同級生の沢石咲果(さわいし・さきか)に見つかってしまう。

 

かつて歌手になる夢を見ていた咲果と共に曲を作り始めた樹は、彼女の歌声に可能性を感じ、音楽を通した将来を真剣に考えるようになる。

 

どん底にいた樹がやっと見つけた新しい夢。

 

だけど咲果には、その夢を追いかけたくても追えない悲しい秘密があった……

 

(本書より引用)

 

 

感想

・人が身に纏う棘

この物語は、人気楽曲『アトラクトライト』とのコラボ作品。

 

……と知った風なことを書いてるけど、実は僕は恥ずかしながらこの物語を読んだ後に『アトラクトライト』を初めて聴きました(笑)

 

そして実際この物語は『アトラクトライト』の世界観がめっちゃ詰まった作品になってて、さすが音先生だなぁ~!

 

さて、肝心な物語のほうはというと……主人公・樹(いつき)は最悪の第一印象(笑)

 

夢を奪われ、人と関わることすら避けるようになった樹は棘を身に纏うようになります。

 

もちろん栗やウニのような棘ではなく、言葉や態度で人を寄せ付けないという事。

 

まあ、誰しも気分によっては近づくなオーラを出す時ってあるけど、高校生にしては幼稚だな~って思ったのは僕だけかな?(笑)

 

だけど、大きな夢を突然失ったりした経験がないから、その時に自分がどうなってしまうのかは分かんないんだけど……

 

そして樹の棘も咲果との交流が深まるにつれて、次第にパラパラと抜け落ちていくんですが、やはり人間って一人では生きていけないもの。

 

完全に他人を避け続けるって、どこかでムリしてるってことですよね。

 

今現在何らかの理由で他人との関わりを断っている人も、きっと心のどこかでは構って欲しいって、交流して欲しいって思ってるはず。

 

そんな時こそ樹と咲果のような運命的な出会いがその人の棘を抜き去ってくれるんでしょうね。

 

 

アダルトチルドレン

アダルトチルドレンって本来は「子ども時代に、親との関係で何らかのトラウマを負ったと考えている成人」意味なのですが、樹や咲果たち高校生は子どもではなく、かと言って大人でもない微妙な年代の子たちも、別の意味でアダルトチルドレンなのかなと思います。(樹に関しては、傷ついたもう一人の自分が存在はしてるのですが)

 

誰もが通って行く年代なのですが、ある時は「もう子供じゃないんだから」と言われ、ある時は子供扱いされ大人のような選択権を得られない。

 

これが思春期特有の悩みや、行き場のない怒りや焦燥の原因のひとつなのかもしれないですよね。

 

樹も将来の選択を迫られる時期に来て、夢を追いかけたい自分と現実的な進路を暗に諭す親との間で葛藤します。

 

大人たちがよく使う決まり文句……「好きな事だけで成功する程、世の中甘くない」

 

確かにそうとも言えるかもしれないけど、大人になった今の僕からすると「好きでもない事で成功する程、世の中甘くない」と感じることも多くなりました。

 

本当に大人と子どもの境界線ってどこにあるんでしょうね。

 

・大人になって分かること

高校生という自分の置かれている立場にもどかしさを感じ、自分の力のなさに憤りを覚える樹の気持ちもすっごく分かります。

 

けど、親世代になった僕は子を持つ親の気持ちも痛いほど分かります。

だってウチの息子も高校生だから(笑)

 

子どもには失敗させたくない、安全な道を歩ませたい。

 

それはどこの親も想いは同じはずです。

 

それが若い時ってなかなか気づかないものなんですよね~。

 

自分一人でなんでも出来るような気になってても、結局は親の掌の上だったなんてことよくあるし、後になって気づくこともあります。

 

樹も父親との会話の中で、なんだかんだ言っても自分が守られてたことに気づかされます。

 

親の心、子知らず……親子の本音での会話ってほんとに大事だと痛感しました。

 

・輝きに向かって

さて、この物語で僕の心に一番響いた言葉……「動くことをやめてしまったら、そこで全部止まってしまうでしょ?」

 

『アトラクトライト』の歌詞「歩くのを止めてしまうのか?」とリンクする部分でもあるんだけど、ほんとに夢に向かって動き続けてないとチャンスを掴むことすら出来ないんですよね。

 

だって幸運の女神って後ろ髪がないって言うから。

 

ただ、夢にむかって歩き続けること、動き続けることは本当に難しい。

 

その答えが合ってるのか、間違ってるのか……敷かれたレールを進むのではなく、道しるべのない荒野を踏破するような不安と隣合わせ。

 

でもこの物語は、行く先に光を見つけたならその不安を飛び越えて行けるんだと勇気づけてくれます!

 

もしあなたが道に迷ってるなら、輝く光を見つけれるといいですね。

 

そう、眩しいほど一瞬をきらめく誰かをね♡