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恋愛小説レビュー『僕が恋した、一瞬をきらめく君に。』

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 (画像元 https://books.rakuten.co.jp

 

こんにちは恋愛開運堂のチャーリーです☆彡

 

今回は音はつきさんの恋愛小説『僕が恋した、一瞬をきらめく君に。』(スターツ出版文庫)を読了しました。

 

あなたの子供の頃の夢ってなんでした?

 

その夢は叶いましたか?

 

それとも、諦めちゃいました?

 

夢を追い求める時、暗がりの道に一筋の光を照らしてくれる人がいると、それが羅針盤となって導いてくれる気がします。

 

そんな素敵な出会いをした二人の物語、レビューしちゃいます♡

 

 

  もくじ

 

作者紹介

・音はつき(おと はつき)

 

埼玉県在住。

 

2017年に趣味としての創作を始め、『未だ青い僕たちは』で作家デビュー。

 

他作でスターツ出版キャラクター小説大賞特別賞受賞。

 

(本書より引用)

 

 

あらすじ

サッカー選手になる夢を奪われ、なにもかもを諦めていた高2の朔田樹(さくた・いつき)。

 

転校先の高校で友達も作らず、ひとりギターを弾くだけが心落ち着く時間だった。

 

ある日公園で弾き語りをしているのを同級生の沢石咲果(さわいし・さきか)に見つかってしまう。

 

かつて歌手になる夢を見ていた咲果と共に曲を作り始めた樹は、彼女の歌声に可能性を感じ、音楽を通した将来を真剣に考えるようになる。

 

どん底にいた樹がやっと見つけた新しい夢。

 

だけど咲果には、その夢を追いかけたくても追えない悲しい秘密があった……

 

(本書より引用)

 

 

感想

・人が身に纏う棘

この物語は、人気楽曲『アトラクトライト』とのコラボ作品。

 

……と知った風なことを書いてるけど、実は僕は恥ずかしながらこの物語を読んだ後に『アトラクトライト』を初めて聴きました(笑)

 

そして実際この物語は『アトラクトライト』の世界観がめっちゃ詰まった作品になってて、さすが音先生だなぁ~!

 

さて、肝心な物語のほうはというと……主人公・樹(いつき)は最悪の第一印象(笑)

 

夢を奪われ、人と関わることすら避けるようになった樹は棘を身に纏うようになります。

 

もちろん栗やウニのような棘ではなく、言葉や態度で人を寄せ付けないという事。

 

まあ、誰しも気分によっては近づくなオーラを出す時ってあるけど、高校生にしては幼稚だな~って思ったのは僕だけかな?(笑)

 

だけど、大きな夢を突然失ったりした経験がないから、その時に自分がどうなってしまうのかは分かんないんだけど……

 

そして樹の棘も咲果との交流が深まるにつれて、次第にパラパラと抜け落ちていくんですが、やはり人間って一人では生きていけないもの。

 

完全に他人を避け続けるって、どこかでムリしてるってことですよね。

 

今現在何らかの理由で他人との関わりを断っている人も、きっと心のどこかでは構って欲しいって、交流して欲しいって思ってるはず。

 

そんな時こそ樹と咲果のような運命的な出会いがその人の棘を抜き去ってくれるんでしょうね。

 

 

アダルトチルドレン

アダルトチルドレンって本来は「子ども時代に、親との関係で何らかのトラウマを負ったと考えている成人」意味なのですが、樹や咲果たち高校生は子どもではなく、かと言って大人でもない微妙な年代の子たちも、別の意味でアダルトチルドレンなのかなと思います。(樹に関しては、傷ついたもう一人の自分が存在はしてるのですが)

 

誰もが通って行く年代なのですが、ある時は「もう子供じゃないんだから」と言われ、ある時は子供扱いされ大人のような選択権を得られない。

 

これが思春期特有の悩みや、行き場のない怒りや焦燥の原因のひとつなのかもしれないですよね。

 

樹も将来の選択を迫られる時期に来て、夢を追いかけたい自分と現実的な進路を暗に諭す親との間で葛藤します。

 

大人たちがよく使う決まり文句……「好きな事だけで成功する程、世の中甘くない」

 

確かにそうとも言えるかもしれないけど、大人になった今の僕からすると「好きでもない事で成功する程、世の中甘くない」と感じることも多くなりました。

 

本当に大人と子どもの境界線ってどこにあるんでしょうね。

 

・大人になって分かること

高校生という自分の置かれている立場にもどかしさを感じ、自分の力のなさに憤りを覚える樹の気持ちもすっごく分かります。

 

けど、親世代になった僕は子を持つ親の気持ちも痛いほど分かります。

だってウチの息子も高校生だから(笑)

 

子どもには失敗させたくない、安全な道を歩ませたい。

 

それはどこの親も想いは同じはずです。

 

それが若い時ってなかなか気づかないものなんですよね~。

 

自分一人でなんでも出来るような気になってても、結局は親の掌の上だったなんてことよくあるし、後になって気づくこともあります。

 

樹も父親との会話の中で、なんだかんだ言っても自分が守られてたことに気づかされます。

 

親の心、子知らず……親子の本音での会話ってほんとに大事だと痛感しました。

 

・輝きに向かって

さて、この物語で僕の心に一番響いた言葉……「動くことをやめてしまったら、そこで全部止まってしまうでしょ?」

 

『アトラクトライト』の歌詞「歩くのを止めてしまうのか?」とリンクする部分でもあるんだけど、ほんとに夢に向かって動き続けてないとチャンスを掴むことすら出来ないんですよね。

 

だって幸運の女神って後ろ髪がないって言うから。

 

ただ、夢にむかって歩き続けること、動き続けることは本当に難しい。

 

その答えが合ってるのか、間違ってるのか……敷かれたレールを進むのではなく、道しるべのない荒野を踏破するような不安と隣合わせ。

 

でもこの物語は、行く先に光を見つけたならその不安を飛び越えて行けるんだと勇気づけてくれます!

 

もしあなたが道に迷ってるなら、輝く光を見つけれるといいですね。

 

そう、眩しいほど一瞬をきらめく誰かをね♡