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恋愛小説レビュー「未だ青い僕たちは」

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 (画像元 https://www.amazon.co.jp

 

こんにちは恋愛開運堂のチャーリーです☆彡

 

今回は、音はつき(おとはつき)さんの恋愛小説「未だ青い僕たちは」スターツ出版文庫)読了しました。

 

あなたは言いたいことを言えたり、やりたいことを自由にやれてますか?

 

悲しいことに歳を重ねるにつれて、いろんなしがらみが増える一方で動けなくなっちゃいますよね~(泣)

 

そんなジレンマを解放してくれるかもしれないこの物語、レビューしちゃいますね♡

 

 

  もくじ

 

作者紹介

音はつき(おとはつき)

 

埼玉県在住。

 

2017年に趣味としての創作を始め、今作で作家デビュー。

 

過去作でスターツ出版キャラクター小説大賞特別賞受賞。

 

鋭い感性で描かれた瑞々しいヒューマンドラマに胸打たれる。

 

(本書より引用)

 

 

あらすじ

 雑誌の読モをしている高3の野々花は、苦手なアニメオタク・原田と隣の席になる。

 

しかしそんな彼の裏の顔は、SNSでフォロワー1万人を超えるアニメ界のカリスマだった!

 

原田の考え方や言葉に感銘を受けた野々花は、正体を隠してSNSでやりとりを始める。

 

現実世界では一切交わりのないふたりが、ネットの中では互いに必要不可欠な存在になっていって……

 

「なにをするのもきみの自由、ここは自由な世界なのさ。」

 

学校という狭い世界で自分を偽りがんじがらめになっていた野々花は、原田の言葉に勇気をもらい、自分を変えるべく一歩を踏み出すが……

 

(本書より引用)

 

 

 

感想(ネタバレ注意)

・子供以上大人未満

主人公の野々花(ののか)と原田はともに17歳。

 

二度と来ない青春の真っ只中で輝きを放つ年代であると同時に、その社会性は脆弱でとても危ういという一面を持ち合わせています。

 

学校という狭いながらも小さな一つの社会に属している限りは、子供のようにいい意味でも悪い意味でも、素直にストレートに全部をさらけ出せない場面も多々ありますよね。

 

かと言って、大人のように寛容という名の諦めという選択肢を大人ほど持ち合わせてない十代。

 

それ故に誰しもが、この年代特有の悩みや苦しみに頭を抱えるのでしょうね。

 

この物語では、そういったリアルな思春期特有の葛藤を描いてあり、今現在その渦中にある人も、遠い過去になった人も身近に感じ共感できるのではないでしょうか。

 

そして、この物語の見どころは読者モデルの女子とアニメオタクの男子という、一見相いれない二人がどう絡み合っていくのかという面白さ!

 

しかもお互いが、胸の奥に湧き上がるモヤモヤしたものが、何の感情なのか分からないまま関わり合っていくところはジレキュンな見どころです。

 

・仮想現実の世界

そもそも二人に接点が生まれたのは、SNSというネットの世界。

 

実社会ではなかなか本音や素の自分をさらけ出せない人も、ネットの世界ではその秘匿性により素の自分を出せたり、また逆に違ったキャラクターを演じることが出来ます。

 

そう……指先ひとつで。

 

そして相手との関係性においても、話が合う人とだけ会話して合わない相手はブロックという機能を使えば済んでしまう気軽さがあります。

 

もっとも、状況によってはブロックという神の手が使えず、いわれのない誹謗中傷により苦しむということが往々にしてあり、社会問題にまでなっているのは周知の通りですが……

 

要はネットという世界とどういうスタンスで向き合うかです。

 

あくまでも仮想現実の無機質な世界として向き合うのか、ネットの向こう側にいる血の通った人間と向き合うのか……

 

この物語では、その問題を野々花や原田たちが教えてくれたような気がします。

 

・自由な世界

人間は誰しもが色んな側面を持っています。

 

そして、どの側面が本当の自分なのかと思い悩むこともしばしばです。

 

ですが、結局はどの側面も丸ごとひっくるめたものが一人の人間だと思います。

 

ただ、大人になるにつれて置かれた環境の中で他人が自分のイメージを作っていき、真面目な人ほどそのイメージ通りに振る舞わないと……という呪縛に苦しめられることもあります。

 

そうやって本当の自分が出せなくなったり、自分のやりたいことを見失ったりしてしまう。

 

そして色んなことを諦めて現状の中で最適解を探してしまうのです。

 

言い方を変えると、大人になるということは上手な諦め方を覚えるということになるのでしょうか。

 

この物語の大きなテーマでもある自分らしく生きるために、ホイル大佐が投げかける言葉……「ここは、自由な世界なのさ」。

 

そう、その言葉こそが周りの目にがんじがらめにされた自分を解き放つ手掛かりになり、本当の自分をさらけ出すことができる呪文になるのです。

 

野々花たち十代に絡みついたしがらみの糸は、僕たち大人と違ってまだまだ充分に切り離せる数だと思います。

 

そこが何とも羨ましい限りですね。

 

・まとめ

さて、肝心の二人の恋模様ですが……

 

学校という現実社会では、容姿や才能によってスクールカーストという序列が実在します。

 

その底辺にいる原田はその地位のためか、とても卑屈になっています。

う~ん、僕が女性だったら絶対好きにならないだろうけど……と思っちゃいましたけど(笑)

 

そして、十代の主人公が自由な世界を見つけて本当の自分を取り戻していくこのお話。

 

僕ら二重三重にしがらみが巻き付いた大人でも自由な世界を意識することで、ずいぶんと気持ちが軽くなりました。

 

本当にぜひ必見の物語ですよ♡