恋愛開運堂

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恋愛小説レビュー「きみが明日、この世界から消える前に」

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 (画像元 https://www.amazon.co.jp

 

こんにちは恋愛開運堂のチャーリーです☆彡

 

今回は此見(このみ)えこさんの恋愛小説「きみが明日、この世界から消える前に」スターツ出版文庫)を読了しました。

 

人間だれしも人生で一度は「死にたい……」って思うような体験をしたことありますよね?

 

もちろん僕にもあります。

 

それでも大半の人は死なずに生を全うしてます。

 

理由はさまざま……

 

愛する人がいれば尚更、ほんとに死ねないですよね~

 

そんな恋が生み出す「生」のチカラを実感できるこの物語、レビューしちゃいます♡

 

 

  もくじ

 

 

作者紹介

 此見えこ(このみ・えこ)

 

福岡県在住。

 

幼少から執筆活動を始め、本作でエブリスタ小説大賞2019×スターツ出版文庫大賞青春部門の大賞を受賞し、書籍化デビュー。

 

青春期の繊細な揺らぎを捉えた文章は、読者の心を掴み忘れられない感動を刻む。

 

(本書より引用)

 

 

あらすじ

 ある出来事がきっかけで、生きる希望を失ってしまった幹太(かんた)。

 

朦朧と電車のホームの淵に立つと「死ぬ前に、私と付き合いませんか!」と必死な声が呼び止める。

 

声の主は、幹太と同じ制服を着た見知らぬ美少女・季帆(きほ)だった。

 

その出会いからふたりの不思議な関係が始まって……。

 

強引な彼女に流されるまま、幹太の生きる希望を取り戻す作戦を決行していく。

 

幹太は真っ直ぐでどこか危うげな彼女に惹かれていくが……。

 

しかし、季帆には強さの裏に隠された、ある悲しい秘密があった……。

 

(本書より引用)

 

 

 

感想(ネタバレ注意)

優しさは他人(ひと)のためならず

主人公の高校生・幹太(かんた)は、15年という長い間守りつづけて来た幼馴染みの七海(ななみ)に彼氏ができ、激しく動揺します。

「ずっと守ってきたのに……ずっと優しくしてきたのに……」

 

冒頭では、正直言って七海は薄情な女だな~って思っちゃいました(笑)

 

ですが……この物語は、優しさとは果たして何なのかを考えさせられるいい機会を与えてくれます。

 

その優しさは、本当に相手のためなのか、相手のためになるのか……

 

か弱い相手に頼られると、もちろん優しくしてあげたくなります。

ですが、その深層を考えてみると優しくしている自分が好きだったり、相手が出来ないことを出来る優越感に浸っていたり、特に相手が異性の場合だと相手と関われる口実のためだったりということがあります。

 

それでもその結果が、良い方向へ進めばそれは自己中心性の利他ともいえるのでしょうが、逆に優しくすることによって相手の自立を妨げたり束縛に繋がったりということにもなりかねません。

 

ましてや、相手に自立の意思すらなければ、その関係は対等な関係ではなく相互依存の関係になってしまうでしょう。

 

必要とされる喜び

そうして過剰な優しさをみせる幹太と同様に、この物語のヒロイン・季帆(きほ)も自分が勉強を頑張ることで周囲の人から必要とされる喜びを覚えます。

 

自分と関わる人の笑顔が季帆の原動力となり、生きる生命線となります。

 

優しさと同じで、人を喜ばせたいという想いも突き詰めて考えると、他人の幸せが嬉しいのか、その喜ぶ姿を見て自分が自己満足に浸ってるだけなのかもしれません。

 

結局は自分の承認欲求のためだったりします。

 

他人への施しは、そうやっていつも表裏一体なのです。

 

ゆえに、自分がやっている行為が過剰にならないように、的外れにならないように自問しながら施すということをこの物語が教えてくれます。

 

すでに持ってるモノへの気づき

この物語の中でもうひとつ印象深かったことは、登場人物それぞれが自分が今持ってる才能や幸せに気づかず、そのために周りを傷つけてしまっていること。

 

人は皆無い物ねだり。

 

どうしても今ある幸せが目に入りにくいのです。

 

スピリチュアルの世界などでは「今ある豊かさに気付くことの大切さ」がよく説かれてますが、やはり人が次のステージへ登るためにはすでに持ってるモノへの感謝が必要不可欠なのです。

 

挫折したり腐りそうになったら、今あるものを見つめ直す。

 

幹太や季帆、七海は若いながらも自らそのことに気づき、そして前へ向かって歩き出そうとしています。

 

ぜひ見習うべきところですね!

 

まとめ

当初ストーカーのような季帆の言動はとってもミステリアスで、ちょっと引く印象の子ですが、その一途さに次第に惹かれていきました。

 

正直、惚れました(笑)

 

季帆が喜べば僕も嬉しくなるような感覚……すごくのめり込める作品です。

 

そして、「恋」の偉大さを再確認します。

 

生きる希望を失ったとき、愛する人がいれば明日も生きたくなります。明日が終わればまた次の明日も生きたくなるでしょう。

 

その積み重ねが、天寿を全うするまで生きたいと想う力になる。

 

それが本当の「恋」であり「愛」なのではないでしょうか。

 

そんな素敵な恋愛……しないわけにはいかないですよね♡