恋愛開運堂

恋愛に関するエトセトラ

恋愛小説「三日間の幸福」レビュー(ネタバレ注意!)

 

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こんにちは恋愛開運堂のチャーリーです☆彡

 

日々の生活に追われていると、ドラマや小説のような恋愛に憧れる瞬間てありますよね。現実逃避かもしれませんが…(笑)

 

そこで今回、命をテーマにしたちょっと変わったSFチックな恋愛小説「三日間の幸福」

メディアワークス文庫)を読んでみましたのでレビューします!

 

ところであなたは、自分の「命の値段」っていくらくらいだと思いますか?

これまでの人生、そしてこれからの人生、その価値を価格を考えるところからこの物語は始まります。

あなたもきっと人生の終末に何を大事にし、誰と過ごしたいのか考えさせられることでしょう。

 

 

 

  目次

 

 

著者情報

 【著者】

 三秋 縋(みあき すがる)

 

2011年から2013年にかけて2ちゃんねる内で「げんふうけい」名義で

「人を自殺させるだけの簡単なお仕事です」「十年巻き戻って、十歳からやり直した感想」「寿命を買い取ってもらった。一年につき一万円で。」などを発表。

 

2013年メディアワークス文庫にて上記の「十年巻き戻って、十歳からやり直した感想」

に加筆・修正したものを「スターティング・オーヴァー」と改題し出版し作家デビュー。

 

 

 

あらすじ

 十歳のクスノキ少年とヒメノ少女は、優秀であるがゆえに小学校のクラスではつま弾きにされる。そんな二人の間には、ほのかな恋心を伴った仲間意識が芽生える。

 

クスノキとヒメノが十歳の夏に「十年後の二十歳には私たちは、将来とっても偉く

なる。」と誓い合うが…

 

その後すぐヒメノは転校し二人は離れ離れになり、クスノキは中学、高校、大学と進学するにつれ、着実に平凡で退屈な人間になっていく。

 

十年後のクスノキはうだつが上がらない貧乏学生になり、閉塞感と自己嫌悪に苦しむことに。

 

そんなクスノキは、ある日寿命を三カ月だけ残して買い取ってもらうことになるが、

その命の値段に驚くことに…。

 

寿命を売った者には、自暴自棄になり問題行動をとらないように常時監視するための

監視員がつくシステムになっており、クスノキには肩までの長さの黒髪の女の子ミヤギがつくことに。

 

年端の同じくらいの女性監視員ミヤギと過ごす残り人生の三カ月の中で激動の物語が繰り広げられる。

 

感想

1.自分の命の値段

主人公クスノキが小学生の頃、担任の若い女性教師が授業で「『人間の命』は実際の

金額にすると、いくらくらいのものだと思いますか?」と生徒に問いかける。

 

私も考えてみました…やはり基準となるものは、現在の収入に残りの推定寿命を積算した額かなぁ?作中の生徒も同じような意見をいってます。そこで先生は

「一度そういう考えは捨ててほしい」と促しますが…

 

もちろん、その問いには「正解」という回答はありません。私たち一人一人が現在まで

どう生きてきて、未来をどう生きるのかが問われる質問なのです。

 

なので、私たちはこの一瞬一瞬を懸命に生き、自分自身を称賛できるように、自分自身を肯定できるように、自分の価値を高めるようにしなければ、と感じました。(自戒の念も込めて)

 

2.子供のころの根拠のない希望

クスノキとヒメノは、つま弾きにしたクラスメイトを見返すため「将来は必ず偉くなってお金持ちになる」「10年後の20歳には『何か』いいことが起こる」と将来への希望と誓いを語りあう。

 

そう、子供のころは漠然とした『何か』が自分を押し上げてくれるであろうと思っていたのは、私だけではないと思います。

 

私も子供のころテレビで海外への探訪番組に

憧れては「将来は海外を飛び回るんだ!」とか、「あまり働かなくてもいい社長になって色んな所へ行くのだ」(笑)なんて希望を持っておりましたが…

 

残念ながら大人になった今、長期の休みが取れない仕事に就き、まるで鎖に繋がれたような生活をしております。今を一言で語るなら「失望」でしょうか(泣)

 

ままならない事が多いのが人生と思いまが、今の子供たちには、やはりドデカイ夢を持っててもらいたいものですね。

 

3.余命でなすべきこと

 主人公クスノキは、自分の命のタイムリミットを意識するとともに、残りの3ヶ月で「死ぬまでにやりたいこと」をノートに書き出す。

 

誰しも同じ状況に置かれれば、同じことをするでしょうね。その中でもかつての仲間や恋人、家族…そんな縁があった人に会いたいというのは最もやっておきたいこと なんじゃないでしょうか?

 

しかしクスノキは、今までの人生において子供のころからずっと、自分から誰かを遊びに誘ったり、会話をもとめたりという事をしてこなかった。

 

それは、煩わしさを避けるメリットもあったが、同時に「最期の時」をより孤独に追い込むことにもなっている。

 

このことは、私たちにも戒めるべき教訓だと感じました。私自信も人間関係の煩わしさから他人と距離をとったり、近づきすぎないようなところがあるので、よけいに考えさせられるところです。

 

たしかに他人との関わは、面倒なことも多分にありますが、人との本当の意味での親密な関係を築くということは、煩わしさを越えて

その人そのものに関心をもち、愛情や友情を紡いでいくことだと最近感じています。

 

クスノキは同性の友人ともケンカ別れしますが、自分の当時の気持ちをこう分析してます「友達をその人物を気に入っていたのではなくて、自分の考えを肯定してくれる彼を通して、自分自身を愛していたのではないかと。

 

「他人に関心を持ち、愛情を与える」これこそが人間関係を築く秘訣でしょうね。

(ただし見返りを求めない、自己肯定感を持つといったことが条件ですが)

 

 

まとめ

この作品からは、どういう人生を送ってきたかの反省と、この先どういう生き方をしていくかを考えさせられましたが、やはり恋愛小説なので一番は、主人公のクスノキの監視員ミヤギのヒロインぶりに萌えましたね(笑)

 

ミヤギは、男の三歩うしろを歩いてついていくタイプの、いわゆる大和撫子を彷彿とさせる女の子。萌えないわけにはいきません!

こんな彼女が欲しい!

 

私の寿命が残りどれくらいか分かりませんが、人生の最期はこんな女性とともに

過ごせたら、私も少しくらいは寿命を売ってもいいかな。

(スズメの涙ほどの値段しかつかないかもしれないけど(笑))