恋愛小説レビュー『交換ウソ日記2』
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こんにちは恋愛開運堂のチャーリーです☆彡
今回は櫻 いいよさんの恋愛小説『交換ウソ日記2』(スターツ出版文庫)を読了しました。
世の中には、一度も恋心を抱いたことがないって人も中にはいると思います。
でも、その人は本当に恋をしてないのかなぁ?
実は恋に気づいてないのかも………
そんな心の深層に向き合うことを教えてくれるこの恋の物語、レビューしちゃいます♡
作者紹介
櫻いいよ(さくら いいよ)
大阪府在住。
著書に『君が落とした青空』『1095日の夕焼けの世界』『そういふものにわたしはなりたい』など人気作多数。
本作の第一弾にあたる『交換ウソ日記』は累計22万部を突破し、コミカライズ。
近著に『偽りの君と、十四日間の恋をした』などがある。
(本書より引用)
あらすじ
高校で副生徒会長を務める江里乃は、正義感が強く自分の意見があり、皆の憧れの存在。
そんな完璧に見える彼女だが、実は恋が苦手だ。
告白され付き合ってもなぜか必ずフラれてしまうのだ。
そんなある日、江里乃は情熱的なラブソングが綴られたノートを拾う。
恥ずかしい歌詞にシラけつつも、こんなに純粋に誰かを好きになれるノートの中の彼を少し羨ましく感じた。
思わずノートに「私も本当の恋がしたい」と変な感想を書いてしまう。
ウソみたいな自分の本音に驚く江里乃。
その日から、ノートの彼と ”本当の恋” を知るための交換日記が始まるのだが……
(本書より引用)
感想
・前作と比べて
う~ん、今回の『交換ウソ日記2』は前作よりグレードアップしてる!
さらにドキドキ感がパワーアップなんですよ~。
今回は『交換ウソ日記』のヒロインの希美の親友・江里乃がヒロイン。
前作の中で、僕は希美より江里乃ちゃんが好きだったから、めっちゃ楽しみでした(笑)
前作では江里乃あての交換日記に希美が江里乃になりすますという、「ちょっと、それはダメっしょ~」というのが頭にこびりついて、素直に希美を応援できなかった。
しか~し、今回はちゃんと当人同士で日記の交換やってたから、何の引っ掛かりもなくストーリーに没頭できました。
この物語は、自分に自信がなくそんなに美人でもないヒロインと校内一のイケメンというよくあるキャラ設定ではなく、美人のヒロインと雰囲気イケメンのある意味異色のキャラ設定で、男性が読んでもハナにつかなくて凄くいいですね。
・気持ちを添えて伝える
ヒロインの江里乃は正義感が強くしっかり者で、おまけに美人。
なのに何故か付き合った男性にフラれてしまいます。
その上、責任感が強いあまり時折周囲と摩擦を起こしてしまうのです。
江里乃は自分は間違ったことは言ってないのに何で……?
となっちゃうのだけど、確かに正論ばかり言ってくる人ってちょっと疎ましいですよね~(笑)
僕もこの物語を読むまでは、正論で武装すると嫌がられると思ってました。
けど、違うんですよね。
その正論は誰のために、何の意図があって、どういう想いで言ってるのか……
その前後の言葉を省略しちゃダメなんだと今さらながら気づかされました。
人間はそれぞれが別の生き物。
発した言葉の受け取り方も、その人の数だけ違うもの。
なので、相手への想いを添えた伝え方で伝えないと、言葉って思ったより伝わってないものなんですよね。
そのことに江里乃は二ノ宮先輩に気づかされるのですが、二ノ宮先輩……
随分としっかりした高校生だよな~(笑)
・人を好きになること
江里乃は告白された男子と何となく付き合い……そしてフラれる。
フラれる理由は「かわいげがない」「キツイ」「おれのことが好きなのかわからない」というもの。
自分でも恋愛というものがよく分からないし、人に恋するという感情が理解できなかった。
相手の気持ちも分からないのに告白することなんて、ただの博打だとすら思っていました。
だけど、最後に江里乃は気づきます……
それは自分の感情を押し込めているだけだと。
プライドが邪魔をして、傷つきたくなくて自分を守りたかっただけなんだと。
確かに恋愛は難しく、時には喜び時には傷つくこともある。
意を決して告白してフラれることもある。
だけど恋心というのは、フラれないから告白をする、フラれるから告白しないという白黒つけれるものじゃあないよね。
大事なのは、自分の気持ちと素直に向き合い、そしてその想いを相手に伝えること。
それが恋愛というものの本質なのでしょうね!
・まとめ
いや~、しかしこの物語では、美人で潔癖で隙のない堅物なイメージの江里乃ちゃんが徐々に溶けだして、しまいにはトロトロになっちゃう様が僕はめっちゃ好きなシチュエーションだった。
あ、江里乃ちゃん好きすぎてお相手の二ノ宮先輩ことほとんど書かなかったな~(笑)
ともあれ、人へ想いを乗せた言葉を添えて伝える……これは恋愛だけじゃなく、普通の人間関係においてもとっても大事なことですよね❤️
恋愛小説レビュー「このラブレターが、君の所に届くまで」
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こんにちは恋愛開運堂のチャーリーです☆彡
あなたの想い人が、1年でいなくなるとしたらどうします?
それでも思い出を積み重ねるのか、辛い思いをしないように離れるのか……
どちらを選択しても苦しいでしょうね。
そんな濃い1年を過ごした男女の物語、優衣羽さんの「このラブレターが、君の所に届くまで」(角川文庫)レビューしちゃいます♡
あらすじ
中学2年の春、赤星宵(あかほし よい)は仲間達と撮ったショートムービーをコンクールに出す。
主演の夜通あかり(よどおし あかり)は、それをきっかけに注目を浴び売れっ子女優となる。
やがて2人の距離は離れ、宵は映画を観ることすらやめてしまう。
高校2年のクリスマスイブ、宵は街であかりと再会するが、彼女はある病気で余命1年だという。
宵はあかりの最期を遺したい一心で再びカメラを構え、再度コンクールに挑む……。
(本書より引用)
著者紹介
優衣羽(ゆいは)
神奈川県出身、横浜市在住。
大学在学中に2018年ピュアフル小説大賞にて最終候補作となった「僕と君の365日」でデビュー。
若い層を中心に人気を集めている期待の若手作家。
(本書より引用)
感想
期限付きの恋
いや~この物語…ぶっちゃけ泣きます!
ヒロインのあかりの余命が1年と分かった時点で、泣かされるストーリー展開だろうなと予想しますが、アマノジャクの僕は泣かないようにしようと密かな抵抗をしました。
……けど、泣いちゃいました(笑)
勿論のこと死を迎えるほうが辛くて怖くて、そして悔しい。
しかし、残されるほうもその後の時間の長さと、埋められない喪失感は言葉では言い表せない苦しみを生みます。
残りの時間を輝かしいものにしようとすればする程、その輝きが強かった場所やシーンが呪縛となって残された者に跳ね返ってくる。
宵はその事を自覚しながらも、必死でカメラを回し続けます。
そして、恐怖心を隠しているあかりを想い、溢れ出そうになる涙を何度も抑え込み「好き」という言葉さえ飲み込むのです。
あかりを普段通りに扱うことで、あかりに気を使わせないようにしようとする宵ですが、僕的にはもう少しあかりを甘やかしてくれないかな~(笑)
ともあれ、余命短い者への向き合い方……考えさせられます。
他人の才能への嫉妬
人間って本当に理不尽に不平等だなと常々思ってます。
宵は一度の失敗で自分の才能に自信喪失し、それどころか才能を発掘されたあかりに対する嫉妬心からあかりを遠ざけてしまします。
その気持ちって、すっごく理解できる。
僕も人の才能を羨む側の人間なので(笑)
多くの場合、一芸に秀でる者は多芸に通ずるパターンのような気がします。
例えば頭が良くてイケメンでその上スタイルも良い……なんて人いますよね。
そんな時、僕はとあるアニメのワンシーンでのセリフ「天の人に対するパラメータ配分は随分と適当なんだな……」をいつも思い出します。
凄く嫉妬します(笑)
しかし一方で、この物語の宵のように誰しもが自分では気づかない秀でたものを持っているとも思っている。
自分では普通に思ってることでも、他人から見るとスゴイことだったり……そういうのが才能って言うんですよね。
ただそれに気づけるかどうか、そしてその才能が好きな事と一致するのかどうかが重要だと感じてます。
幸せの形
人には必ず承認欲求というものが備わっています。
地位や名声にさほど執着が無い人でも、誰かに褒めてもらいたい、認めてもらいたいという心理は少なからず持っているもの。
この物語の主人公・宵もその名誉を喉から手が出るほど欲していました。
「どれだけ願っても神様は願いを叶えてくれないと、もう随分前から理解している」
この気持ち、すっごく共感できる!
思うように行かない時って神頼みをしますが、当然ほとんどの場合効果がない(笑)
そして自分を棚上げして神様のせいにしてしまう。
ヒロインのあかりは先に名声を手に入れるのですが、その輝かしい世界もあかりにとっては全然輝いて見えないものだった……
その場所に辿り着いた者だけが分かるのかも知れない……本当の幸せってもっと別のところにあるということを。
宵も最後に気づきます……
本当に欲しかったものは名誉や称賛ではなく、愛する人との何気ない日常にあるのだと。
僕も歳をとって、静かで穏やかで丁寧に暮らしたいと思うようになりました。
しかし、現代社会は激動の中に身を置かなければ暮らしていけなくて、何気ない日常の幸せを噛みしめる余裕すらないのが現実なのですが(笑)
まとめ
この物語の最初のほうは、宵とあかりがこのまますんなり色んなエピソードをこなしていくのかな?と予想してましたが、いい意味で裏切られました(笑)
急転直下、ほんとに厳寒の冬のような心理描写に僕の脳内にも冬色が再現されていく。
しかし、宵のフィルムの中のあかりがラストへ向けて輝きを増したように、物語も段々と色味が出てきて濃色のフィナーレを迎えるところが圧巻です。
そして、この物語を読んでるあいだ中、僕の頭の中ではリアルな若手俳優たちが演技を繰り広げていました。
そう、この作品は絶対に実写版の映画で再現して欲しい!
あぁ~、映画館で号泣してる僕の姿が想像できる(笑)
恋愛小説レビュー「未だ青い僕たちは」
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こんにちは恋愛開運堂のチャーリーです☆彡
今回は、音はつき(おとはつき)さんの恋愛小説「未だ青い僕たちは」(スターツ出版文庫)読了しました。
あなたは言いたいことを言えたり、やりたいことを自由にやれてますか?
悲しいことに歳を重ねるにつれて、いろんなしがらみが増える一方で動けなくなっちゃいますよね~(泣)
そんなジレンマを解放してくれるかもしれないこの物語、レビューしちゃいますね♡
作者紹介
音はつき(おとはつき)
埼玉県在住。
2017年に趣味としての創作を始め、今作で作家デビュー。
鋭い感性で描かれた瑞々しいヒューマンドラマに胸打たれる。
(本書より引用)
あらすじ
雑誌の読モをしている高3の野々花は、苦手なアニメオタク・原田と隣の席になる。
しかしそんな彼の裏の顔は、SNSでフォロワー1万人を超えるアニメ界のカリスマだった!
原田の考え方や言葉に感銘を受けた野々花は、正体を隠してSNSでやりとりを始める。
現実世界では一切交わりのないふたりが、ネットの中では互いに必要不可欠な存在になっていって……
「なにをするのもきみの自由、ここは自由な世界なのさ。」
学校という狭い世界で自分を偽りがんじがらめになっていた野々花は、原田の言葉に勇気をもらい、自分を変えるべく一歩を踏み出すが……
(本書より引用)
感想(ネタバレ注意)
・子供以上大人未満
主人公の野々花(ののか)と原田はともに17歳。
二度と来ない青春の真っ只中で輝きを放つ年代であると同時に、その社会性は脆弱でとても危ういという一面を持ち合わせています。
学校という狭いながらも小さな一つの社会に属している限りは、子供のようにいい意味でも悪い意味でも、素直にストレートに全部をさらけ出せない場面も多々ありますよね。
かと言って、大人のように寛容という名の諦めという選択肢を大人ほど持ち合わせてない十代。
それ故に誰しもが、この年代特有の悩みや苦しみに頭を抱えるのでしょうね。
この物語では、そういったリアルな思春期特有の葛藤を描いてあり、今現在その渦中にある人も、遠い過去になった人も身近に感じ共感できるのではないでしょうか。
そして、この物語の見どころは読者モデルの女子とアニメオタクの男子という、一見相いれない二人がどう絡み合っていくのかという面白さ!
しかもお互いが、胸の奥に湧き上がるモヤモヤしたものが、何の感情なのか分からないまま関わり合っていくところはジレキュンな見どころです。
・仮想現実の世界
そもそも二人に接点が生まれたのは、SNSというネットの世界。
実社会ではなかなか本音や素の自分をさらけ出せない人も、ネットの世界ではその秘匿性により素の自分を出せたり、また逆に違ったキャラクターを演じることが出来ます。
そう……指先ひとつで。
そして相手との関係性においても、話が合う人とだけ会話して合わない相手はブロックという機能を使えば済んでしまう気軽さがあります。
もっとも、状況によってはブロックという神の手が使えず、いわれのない誹謗中傷により苦しむということが往々にしてあり、社会問題にまでなっているのは周知の通りですが……
要はネットという世界とどういうスタンスで向き合うかです。
あくまでも仮想現実の無機質な世界として向き合うのか、ネットの向こう側にいる血の通った人間と向き合うのか……
この物語では、その問題を野々花や原田たちが教えてくれたような気がします。
・自由な世界
人間は誰しもが色んな側面を持っています。
そして、どの側面が本当の自分なのかと思い悩むこともしばしばです。
ですが、結局はどの側面も丸ごとひっくるめたものが一人の人間だと思います。
ただ、大人になるにつれて置かれた環境の中で他人が自分のイメージを作っていき、真面目な人ほどそのイメージ通りに振る舞わないと……という呪縛に苦しめられることもあります。
そうやって本当の自分が出せなくなったり、自分のやりたいことを見失ったりしてしまう。
そして色んなことを諦めて現状の中で最適解を探してしまうのです。
言い方を変えると、大人になるということは上手な諦め方を覚えるということになるのでしょうか。
この物語の大きなテーマでもある自分らしく生きるために、ホイル大佐が投げかける言葉……「ここは、自由な世界なのさ」。
そう、その言葉こそが周りの目にがんじがらめにされた自分を解き放つ手掛かりになり、本当の自分をさらけ出すことができる呪文になるのです。
野々花たち十代に絡みついたしがらみの糸は、僕たち大人と違ってまだまだ充分に切り離せる数だと思います。
そこが何とも羨ましい限りですね。
・まとめ
さて、肝心の二人の恋模様ですが……
学校という現実社会では、容姿や才能によってスクールカーストという序列が実在します。
その底辺にいる原田はその地位のためか、とても卑屈になっています。
う~ん、僕が女性だったら絶対好きにならないだろうけど……と思っちゃいましたけど(笑)
そして、十代の主人公が自由な世界を見つけて本当の自分を取り戻していくこのお話。
僕ら二重三重にしがらみが巻き付いた大人でも自由な世界を意識することで、ずいぶんと気持ちが軽くなりました。
本当にぜひ必見の物語ですよ♡
恋愛小説レビュー「きみが明日、この世界から消える前に」
(画像元 https://www.amazon.co.jp)
こんにちは恋愛開運堂のチャーリーです☆彡
今回は此見(このみ)えこさんの恋愛小説「きみが明日、この世界から消える前に」(スターツ出版文庫)を読了しました。
人間だれしも人生で一度は「死にたい……」って思うような体験をしたことありますよね?
もちろん僕にもあります。
それでも大半の人は死なずに生を全うしてます。
理由はさまざま……
愛する人がいれば尚更、ほんとに死ねないですよね~
そんな恋が生み出す「生」のチカラを実感できるこの物語、レビューしちゃいます♡
作者紹介
此見えこ(このみ・えこ)
福岡県在住。
幼少から執筆活動を始め、本作でエブリスタ小説大賞2019×スターツ出版文庫大賞青春部門の大賞を受賞し、書籍化デビュー。
青春期の繊細な揺らぎを捉えた文章は、読者の心を掴み忘れられない感動を刻む。
(本書より引用)
あらすじ
ある出来事がきっかけで、生きる希望を失ってしまった幹太(かんた)。
朦朧と電車のホームの淵に立つと「死ぬ前に、私と付き合いませんか!」と必死な声が呼び止める。
声の主は、幹太と同じ制服を着た見知らぬ美少女・季帆(きほ)だった。
その出会いからふたりの不思議な関係が始まって……。
強引な彼女に流されるまま、幹太の生きる希望を取り戻す作戦を決行していく。
幹太は真っ直ぐでどこか危うげな彼女に惹かれていくが……。
しかし、季帆には強さの裏に隠された、ある悲しい秘密があった……。
(本書より引用)
感想(ネタバレ注意)
優しさは他人(ひと)のためならず
主人公の高校生・幹太(かんた)は、15年という長い間守りつづけて来た幼馴染みの七海(ななみ)に彼氏ができ、激しく動揺します。
「ずっと守ってきたのに……ずっと優しくしてきたのに……」
冒頭では、正直言って七海は薄情な女だな~って思っちゃいました(笑)
ですが……この物語は、優しさとは果たして何なのかを考えさせられるいい機会を与えてくれます。
その優しさは、本当に相手のためなのか、相手のためになるのか……
か弱い相手に頼られると、もちろん優しくしてあげたくなります。
ですが、その深層を考えてみると優しくしている自分が好きだったり、相手が出来ないことを出来る優越感に浸っていたり、特に相手が異性の場合だと相手と関われる口実のためだったりということがあります。
それでもその結果が、良い方向へ進めばそれは自己中心性の利他ともいえるのでしょうが、逆に優しくすることによって相手の自立を妨げたり束縛に繋がったりということにもなりかねません。
ましてや、相手に自立の意思すらなければ、その関係は対等な関係ではなく相互依存の関係になってしまうでしょう。
必要とされる喜び
そうして過剰な優しさをみせる幹太と同様に、この物語のヒロイン・季帆(きほ)も自分が勉強を頑張ることで周囲の人から必要とされる喜びを覚えます。
自分と関わる人の笑顔が季帆の原動力となり、生きる生命線となります。
優しさと同じで、人を喜ばせたいという想いも突き詰めて考えると、他人の幸せが嬉しいのか、その喜ぶ姿を見て自分が自己満足に浸ってるだけなのかもしれません。
結局は自分の承認欲求のためだったりします。
他人への施しは、そうやっていつも表裏一体なのです。
ゆえに、自分がやっている行為が過剰にならないように、的外れにならないように自問しながら施すということをこの物語が教えてくれます。
すでに持ってるモノへの気づき
この物語の中でもうひとつ印象深かったことは、登場人物それぞれが自分が今持ってる才能や幸せに気づかず、そのために周りを傷つけてしまっていること。
人は皆無い物ねだり。
どうしても今ある幸せが目に入りにくいのです。
スピリチュアルの世界などでは「今ある豊かさに気付くことの大切さ」がよく説かれてますが、やはり人が次のステージへ登るためにはすでに持ってるモノへの感謝が必要不可欠なのです。
挫折したり腐りそうになったら、今あるものを見つめ直す。
幹太や季帆、七海は若いながらも自らそのことに気づき、そして前へ向かって歩き出そうとしています。
ぜひ見習うべきところですね!
まとめ
当初ストーカーのような季帆の言動はとってもミステリアスで、ちょっと引く印象の子ですが、その一途さに次第に惹かれていきました。
正直、惚れました(笑)
季帆が喜べば僕も嬉しくなるような感覚……すごくのめり込める作品です。
そして、「恋」の偉大さを再確認します。
生きる希望を失ったとき、愛する人がいれば明日も生きたくなります。明日が終わればまた次の明日も生きたくなるでしょう。
その積み重ねが、天寿を全うするまで生きたいと想う力になる。
それが本当の「恋」であり「愛」なのではないでしょうか。
そんな素敵な恋愛……しないわけにはいかないですよね♡
恋愛小説レビュー「さよならノーチラス~最後の恋と、巡る夏~」
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こんにちは恋愛開運堂のチャーリーです☆彡
今回は、優衣羽(ゆいは)さんの恋愛小説「さよならノーチラス~最後の恋と、巡る夏~」(ポプラ文庫ピュアフル)を読了しました。
あなたは、これまでの人生で道に迷ったことありますか?
誰しも一度は自分が進む進路に悩んだり、葛藤したと思います。
そんな時に誰かが行く先を照らしてくれたらな~って思いますよね。
そんなあなたに、切なくも勇気づけられるこのお話レビューしちゃいます♡
作者紹介
優衣羽(ゆいは)
神奈川県出身。
「僕と君の365日」が2018年ピュアフル小説大賞にて最終候補となり、同作でデビュー。
他の著作に「紅い糸のその先で、」がある。
あらすじ
都内の大学に通う大晴(たいせい)は、将来に対しての夢もなくただ無為に日々を過ごしていた。
ある日、祖父が倒れたという知らせを受けて実家のある田舎町へ帰郷した大晴は、そこで幼馴染みだった黎夏(れいか)と7年ぶりに再会する。
美しい女性に成長した黎夏を見て、大晴の胸に再び恋愛感情が湧き上がる。
だが久しぶりの再会にもかかわらず、黎夏の表情は曇ったまま。
そこには、黎夏が抱える残酷な秘密が横たわっていた……。
(本書より引用)
感想
・変わらない夏の思い出、移り行く時間
夏……暑い期間はそれなりの長さがありますが、ほんとの意味での「夏」ってアッという間に過ぎ去ってしまうような気がします。
それだけに夏には色んなドラマが打ち上げ花火のように生まれ、線香花火のように儚く終わってしまう。
そして、「夏」が連想させるものの一つに「故郷(ふるさと)の情景」が思い浮かぶのは僕だけではないと思います。
今回の物語は、そんな田舎の夏を舞台にしたとってもとっても切ないお話。
それにしても、夏の風景や田舎の情景の描写が見事な作品で、一瞬で自分がその情景に溶け込んだような錯覚に陥ります。活字というアナログなツールを使ったバーチャルリアリティーを体感できます。
主人公の大晴(たいせい)は、久しぶり帰った田舎の景色や久しぶりに会う友人たちの中の変わらない部分を見つけては安堵します。
それは移り行く時間というものが無情にも周りの環境や、自分たちの置かれている立場を否応なしに変えていく寂しさや焦りからくるものでしょう。
それだけに楽しかった過去の変わらない思い出にすがりつきたくなるのは誰しも持ってる感情ではないでしょうか。
・大人になるということ
やがて僕らは、その変化を受け入れて大人になっていきます。
その過程では皆必ず人生の選択を迫られる。
子どもの頃に抱いた夢に向かっていけるのは、ごく少数。多くの者は、与えられた選択肢の中で一番波風が立たない「普通」という道を選び、生きていくために夢を捨てていく。
それが一般的にいう大人になるということでしょうね。
いや今の世の中、やむ無く捨ててしまう「夢」があるだけまだましなほうかもしれません。
この物語の中で、自分の夢がまだ見つけられないまま年齢という時間に押し流され苦悩する大晴が『納得できる答えが見つかるまで、もう少し時間をくれてもいいのではないか』……と心で嘆く場面がありますが、僕は激しく共感しました。
僕はもう、それなりに年齢を重ねていますが、現在置かれている立場に納得しておらず、新しいことにチャレンジしたいと考えてます。
しかし、生きていく事に縛られているうちに、どんどんと時間だけが過ぎていってます。
立ち止まって考える時間が欲しいのは、若者だけではないということですよね。
ただひとつ違うのは、いくつもの選択の機会があったのに、安定した道を選び続けてしまったということ。
若者にはまだ納得できる選択をするチャンスが僕らより断然多い。
なので若い人には、後悔のない選択をして欲しいし、出来るなら妥協と諦めをしないで欲しいと心から願います。
・希望の光
短いようで意外と長い僕らの人生。
大きな喜び苦しみもあれば、些細な嬉しさ悲しみもあります。
その命が尽きるまでは、その全部がその人の人生であり物語なのです。
物語の中でヒロイン・黎夏(れいか)が読んでいた『海底二万里』にでてくる潜水艦のように、時には真っ暗な海に沈み行先を見失うこともあるでしょう。
そんな時に道を示してくれるのが「光」。
その光の源となるのは自身の夢なのか、最も信頼する誰かなのか……
それは人それぞれに違うでしょう。
僕自身は、愛する人の存在が暗闇を切り裂き照らしてくれる光になってくれると確信しています。
愛する人の光が道しるべとなって導いてくれるはずです。
そう……希望という名の光で。
恋愛小説レビュー「ヘタレな俺はウブなアラサー美女を落としたい」
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こんにちは恋愛開運堂のチャーリーです☆彡
今回は兎山もなかさんの恋愛小説『ヘタレな俺はウブなアラサー美女を落としたい』(スターツ出版文庫)を読了しました。
男なら一度は凛とした年上の大人の女性に憧れたことってありますよね~。
しかもバーのカウンターでシェーカーなんか振ってる姿なんか見たらもう……ね(笑)
そんな大人の女とイケメン男子大学生がカクテルバーを舞台にした物語って、ワクワクが止まらない!
うん、あなたも酔っちゃうかもよ~♡
作者紹介
兎山もなか(とやま・もなか)
2015年デビュー。
以降、小説や漫画原作、シチュエーションCDのシナリオなど幅広く活動している。主な著作には『才川夫妻の恋愛事情』シリーズ、『きみは面倒な婚約者』、『地球が終わるらしいので、いまからキミを監禁します。』など。
あらすじ
念願のバーをオープンさせ、経営も順調なアラサーバーテンダーの篠森絹(しのもり・きぬ)。
ある日の明け方、お店の前でつぶれていたパリピな大学生・馬締純一(まじめ・じゅんいち)を介抱したのをきっかけに彼はお店で働くことに。
「絹さんて彼氏いるんスか」と聞いて積極的にアプローチしてくる彼に、しばらく恋愛ご無沙汰だった絹は、必死でオトナの女を演じるが……
一方、チャラ男を演じていた純一は実はガチで真面目なピュアボーイで、必死で肉食系を演じていた始末……。
恋愛経験を偽り、恋の駆け引きをするウブなふたりの、カクテルよりも甘い恋愛ストーリー。
(本書より引用)
感想
カクテルバーを舞台に年上女性バーテンダーとイケメン男子大学生が繰り広げるジレキュンストーリー……もうこれだけで逝っちゃいそうな設定(笑)
読む前から期待値がいやでも上がります。
女性バーテンダー・絹の外見はパッチリとした瞳に凛々しく知性的な顔立ちの、まるで格式高い写真集の中からそのまま出てきたような女性。
しかも、いい女の代名詞とも言える「いい匂い」が漂う女。(いい女がいい匂いという固定観念をもってるのは僕だけかもだけど(笑))
その上大人の女性の余裕まで感じさせる絹……
どう考えても恋の相手としてはムリ目な女性。
いつもながら、どうやってこのムリ目な女性を口説くのだろうかと、先の展開がよめません(笑)
ただ絹は余裕ある大人の女性を演じているが、実は恋愛経験値が低いピュアな女性。
一方、主人公の男子大学生・純一もパリピ風を装っているが、本当は真面目で大学デビューのチェリーボーイ。
お互いの恋愛経験値の低さから物語は、ウブなふたりの恋の攻防戦となり、かなりジレちゃいます(笑)
そしてこの物語は、そんな二人の駆け引きを楽しみながら、お酒の楽しみかたも教えてくれます。
花に花言葉があるように、カクテルにも酒言葉(カクテル言葉)というものがあります。
カクテルの裏にある意味を込めて、意中の相手へ贈る一杯のカクテル……ロマンチック過ぎます!
そして一杯のカクテルが、二人の思い出の中に深く刻みこまれるとしたら、そんな素敵なことはありませんよね~♪
まあカクテルに限らず人はお酒が入ると、思ってもみなかった一面を持ってたり、こんな事を悩んでたのか~とか意外な発見が出来たりするものです。
そう、お酒は本音で語り合う魔法のツールでもあります。
なので、せっかく語り合った本音の想いを忘れないよう深酒には気を付けたいものですね。
さあ、あなたが相手に贈る一杯は、どんなカクテルにしましょうか♡
恋愛小説レビュー『ずっとキミしか見えてない』ネタバレ注意
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こんにちは恋愛開運堂のチャーリーです☆彡
あなたは一度あっただけのひとりの人を一途に想い続けたことってありますか?
僕は残念ながらそんな経験はないし、一度会っただけじゃ忘れてしまっちゃいます・・たぶん(笑)
今回は運命的な出会いをした二人がお互いを一途に恋したお話、湊祥(みなと・しょう)さんの『ずっとキミしか見えてない』(野いちご文庫)をレビューしちゃいます♡
作者紹介
湊 祥(みなと・しょう)
2018年『一生に一度の恋』小説コンテストにて『あの時からずっと、君は俺の好きな人。』(原題『あのとき僕は、君の青に願った』)が最優秀賞を受賞、同作でデビュー。
近著に『杜の都であやかし保護猫カフェ』(宝島社)、『何度記憶をなくしても、きみに好きと伝えるよ。』(スターツ出版)。
あらすじ
8年前からずっと恋してた……だから、早く気づいてほしい俺がキミを好きだってこと
8年前、流星群の夜に出逢った少年に恋をした紗良(さら)。
高校の入学式でその少年・光雅(こうが)に再会し、同じクラスに!
彼はイケメン優等生になっていて、手が届かないほどの人気者。
だけど、紗良に勉強を教えてくれたり、特別扱いしてくれて……。
本当は両想いなのに、お互い気持ちを伝えられずにすれ違ってばかり。
そこへ紗良に想いを寄せる男子が現れ、光雅は焦り始めるじれったい胸きゅんピュアラブ♡
(本書より引用)
感想
主人公の結城紗良(ゆうき・さら)は鈍感で平凡な高校1年生。
その紗良は8年前の「ねこ座流星群」を見に行った時に偶然出逢った男の子に恋に落ちる。
そしてその相手、月島光雅(つきしま・こうが)と高校の入学式で再会。
美少年だった光雅は成績優秀なクール系イケメンへと成長していた。
平凡女子×完璧イケメン……うん、恋愛物の王道をいくストーリーですね(笑)
しかも運命的に一度だけ出会った二人は、お互いをずっと一途に想いを寄せていたというから、そのピュアさにキュンキュンきちゃいます!
僕が光雅ほどのイケメンなら、絶対回り道しちゃってるな~
名前も聞かなかった二人が8年後も同じ場所でまた一緒に流星を見る約束をします。
それだけでも夢とロマンを感じるストーリーですよね!
かくして8年後、偶然にも同じ高校へ通うことになり、再会した二人は8年の時を越えて
お互いがあの時の相手だと気づきます。
ところが、もし相手が覚えていなかったら……とお互い臆病になってしまうことから、じれったい展開が繰り広げられます。
成績トップの光雅にくらべ、やっとのことで入学できた紗良は、光雅の足枷になるのではと光雅を避けるようになるのですが……
もうこの辺になると、男子目線の僕から見るともはや紗良は、こじらせ女子にしか見えなくなってきました(笑)
でもそれだけ紗良は自分の結ばれたいという欲求より、相手のためになる方を優先できるほどやさしい子なんですよね。
そこに光雅も惹かれたんだと思うと納得です。
お互いが勇気をもって打ち明ければ話は早いんだけど、やっぱり恋愛って相手が本命になるほど慎重に、そして臆病になってしまう。
他の人だとリラックスして何でも話せるんだけどな~って人、多いんじゃないかな。
そして、良い恋愛って何かと考えてみました。
良い恋愛とは恋人同士が依存しあうのではなく、お互いが独立していて、その上でお互いの存在が目標に向かって頑張る励みになるような関係なのではないでしょうか。
そういった意味では、紗良の存在によって光雅が勉強にスポーツに頑張れるっていうエピソードは、紗良と光雅は良い恋愛関係にあり、明るい未来が待ってるのを確信します。
光雅はまさに星の王子さま、この物語を読んだらあなたもきっと、星の王子さまを探したくなっちゃいますよ♡